후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
「しかし私にとっては一身を賭しても護らなければならないものだし、もし私の妻になるとすれば、貴女にとっても」
「よして下さい、よして、それだけはもう云わないようにって、断わったでしょ」おみやは暴あらしく遮った、「まだ云いたいことがあるんだけれど、云ってもしようがないようだし、云う張りあいもなくなったわ、あなたはいい人よ、黒田さん、忠義で生一本で、いかにもお侍らしいお侍よ、だけれども、つまらない人よ、退屈でつまらない人よ、あなたは、――ああさっぱりした、ごめんあそばせ」
「どうするんです」
「人が待ってますの」
おみやは立ちあがった。よろめいたので男が支えようとしたらしい、おみやの、触らないで下さい、と云うのが聞えた。
「あたしのことは心配なさらないでね、あたしはこれっきりお屋敷へは戻りません、あなたにも、もう一生お会いすることはないでしょう、ではお達者で」
男が、滝尾どの、と云った。
「ここの勘定はあたしが払います、どうか心配しないでお帰りなさいまし、ではもういちど、どうぞお達者で」
そう云うと、おみやは廊下へは出ずに、こちらへ来て襖をあけ、新さんお待ち遠さま、と云いながら、じかにこちらの座敷へはいって来た。