후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
――可哀そうに。
と新八は心のなかで呟いた。かつておみやにいだいていた、恨みや、怒りは、もう少しも残ってはいなかった。おみやに罪はない、おれの性分がおれ自身をこうしたんだ。彼はそう思うようになっていた。湯島の家で暮しているあいだに、自分の経験したことは自分の性分から出たもので、これからさきも、その経験を生かしてゆけばいい、おみやには責任はなかったし、或る意味では感謝してもいいくらいだ、そういうふうに考えていた。
「おれは必ず新らしい唄をあみ出してみせる、おれ自身の経験した、人間の悲しみや絶望感や嘆きを、おみやをとおして、女の哀れさや、愛情のせつなさや、よろこびを、そういうものをうたいあげてやろう」と新八は呟いた。
侍の世界はちがうんだよ、と彼はおみやの寝姿に呼びかけた。おまえは黒田という人を罵った。しかしあの人はなんとも思やあしない、侍というものは、自分や自分の家族よりも、仕える主君や藩のほうが大事なんだ。おまえも武家に生れたそうだし、おれも侍だった。けれども、おれたちにはあんな生きかたはできない。あの人たちからみれば、おれやおまえは堕落した賤しい人間だろう。