후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
「すぐに済むのよ」とかよはべそをかき、自分が甲斐に云い聞かせるように、半分泣き声で云った、「お客たますぐに済むのよ」
「ああすぐだ、母さまとこれを喰べながら待っておいで」そう云って甲斐は立った。
裏の小座敷へゆくと、中黒達弥(黒田玄四郎)が汗を拭いていた、いそいで来たのであろう、顔が赤く、額には拭くあとから汗が滲み出てきた。甲斐がはいってゆくと、達弥は手拭をしまって、坐り直した。
「楽にしろ」と甲斐は手を振って、坐った。
達弥は手拭でもういちど汗を拭き、それから、脇に置いてある袱紗包みを解いて、大きな封書を取り出し、それを甲斐に渡しながら、酒井侯と一ノ関とで取り交わした証書である、と云った。甲斐の唇が一本の紐のようにひき緊り、額に深く皺が刻まれた。甲斐はそれを披き、書かれてある文言と、二人の署名を入念に見た。螺鈿細工をする職人が、青貝の細片をたしかめるように、極めて念入りに読み、特に署名の文字と花押とをよくしらべた。
「酒井侯の奥から出たものです、出所に紛れはありません」と達弥が云った、「但し、偽物を作ってあったとすると、それが真偽いずれであるかは、私にはわかりませんが」