후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
声をかけて、その座敷へはいって来たおみやは、暑いのと息苦しいのとで、むっと胸がつかえるように思った。
「お月見の宴が終ったので、二日おいとまが出ました」とおみやは云った。
六郎兵衛はふきげんに妹を見た。その眼は酔のために、どろんと充血していた。
「それで帰ったのか」
「お話しもございます」
「あの件でか――」
六郎兵衛の眼が細くなった。おみやは頷いて、はいといった。
「よし聞こう、おまえたちは座を外せ」と六郎兵衛が云った。
女たち二人が去り、おみやは話した。少しも風がはいらないので、暑さもひどいし息苦しく、おみやは団扇を取って、兄と自分を代る代るあおぎながら、話した。
「それだけか」
聞き終った六郎兵衛は、たしかめるように妹を見た。彼は殆んど泥酔していたが、聞いているあいだに酔がさめたようすで、表情もはっきりしてきたし、充血した眼にも、するどい光があらわれた。
「十一月十日といったな」
「若ぎみのお袴祝いがあるのだそうです」
「十一月十日、間違いないな」
「わたくしはそう聞きました」
六郎兵衛は口の中で、もういちど、十一月十日、と呟き、独りで頷いてから、また妹の顔を見た。