후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
そして真っ暗になったと思ったら、忽ち背後から何者かに組み着かれた。いや、組み着かれたと云うよりは、魔物のようなものが音もなく擦り寄って、出し抜けにぎゅッと五体を呪縛した感じ、………でなかったら、巨大な熊の如き獣の胸に抱きすくめられたような工合だった。彼女は口と頭の周りとを強く壓迫されながら辛うじて殿様に声をかけたが、同時に肋骨のあたりにしたゝか打撃を加えられて、そのまゝ前後不覚になった。そう云う訳で、もしもその晩桔梗の方が眼をさまして夫と侍女の居ないことに不審を起さなかったとしたら、二人はいつ迄廊下に倒れていたことか知れなかった。尤も夫人や女中共が騒ぎ出した時分には、とうに曲者は影も形も見えなくなって、たゞ織部正の面上に鮮やかな手術の痕ばかりを留めていたのであるが、不思議なことに、曲者は逃げるに先立って、傷口に血止め薬を塗り、ぺたんこになった顔のまん中へ膏薬まで貼って行ってくれたのである。これは何処迄も外科医の心がけを忘れないつもりなのか、外に理由があったのか、何にしても甚だ親切な、宜しきを得た処置であった。と云うのは、そうでもして置いてくれなかったら、事に依ると気の毒な患者は出血のために死んでいないとも限らなかったからである。