일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

谷崎 潤一郎의 潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 71,989자 · 144화면

아오조라 문고

己は先、「恋いしい彼の女」と書いたが、正直を云うと己の彼の女に対する感情は普通の意味の恋愛でないかも知れない。それは恋愛と云うよりも、もっと激しい、もっと神秘な、憧憬の情である。己は今迄、ぼんやりと自分の脳裡に描いて居た、「詩」だとか、「美」だとか、「藝術」だとか云うものが、彼の女に具体化されて居たのを認めたのである。年が年中己の頭に浮かんでいる不思議な幻がメリー嬢となって現れたように感じたのである。メリー嬢の持って居る「美」は、己が明け暮れ憧れて居るものゝ凡てゞあったのである。

彼の女の魔術にかけられて椅子に眠って居る時、己の魂はたしかに微妙な幸福な天国へつれて行かれた。其れは酒よりも音楽よりも、ずっと強烈に己の心を陶酔させた。己の精神に歓楽極まる絶対境を味わせた。………

五月三十日 雨

あゝ、つまらない、つまらない。己は何とかして、もう一度メリー嬢に会いたい。メリー嬢に会えない迄も、メリー嬢の魔術にかけられた時のような光景と快感とにめぐり会いたい。詩を作ったり、絵を畫いたりする事の出来ない己は、せめてもそう云う方面で、己の藝術慾を満足させたい。………今日の三面記事を見たら、三枝光子と云う二十ばかりの不良少女が、十五六歳の不良少年の親分になって、盛んに悪事を働いて居る記事が出て居る。