후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
徳田 秋声의 現代日本文学館8 徳田秋声(しゅくず)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 327,364자 · 638화면
ある日鵠沼にいる例の黒須がひょっこり訪ねて来た。ちょうどその時葉子は籠から逃げた一羽生きのこりのカナリヤの雄を追っかけて、スリッパのまま隣りの空地まで捜しに出ていた。どうしたのか籠の戸口が少し透いていた。庸三も一緒に縁におりて、珊瑚樹の垣根や、隣りの松や槻のような木の梢を下から見あげていた。葉子が博士と別れてここへ来るとき贈られたものだということが、頭に閃めいて、それも一羽は一月前に死んだ後を独り侘しく暮らしていた哀れな雄の方が、広い自然を目がけて飛び出して行ったもので、翅の自由が利くかどうかもわからなかった。葉子はあの短時日の単純で朗らかな恋愛の思い出を、今はこれまで経て来た数々の恋愛のなかでは、相手が相手だけにちょっと微笑ましいものにも思い、苦難の多い庸三との生活の途中における楽しい一つの插話として、記念のカナリヤを眺めていたのだったが、逃げられてみると、はっとしてあわてたのであった。どこを捜しても、梢や草を渡る寂しい風の音ばかりで、どこかに立ち辣んでいるであろうとは思いながらも、思い切らないわけに行かなかった。
「死ぬより逃げられた方が増しだよ。