후리가나로 읽는 일본 고전
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
菊池 寛의 真珠夫人(しんじゅふじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 289,296자 · 578화면
九
こうした機会を逸しては……」
そう心の中で思うと、信一郎の心は、籠を放れた鳩か何かのように、フワ/\となってしまった。彼は思い切って云った。
「もし貴女さえ、御迷惑でなければお伴いたしてもいゝと思います。」
「あらそう。付き合って下さいますの。それじゃ、直ぐ、丸の内へ。」
夫人は、後の言葉を、運転手へ通ずるように声高く云った。
自動車は、緩みかけた爆音を、再び高く上げながら、車首を転じて、夜の須田町の混雑の中を泳ぐように、馳けり始めた。
電車道の、鋪石が悪くなっている故か、車台は頻りに動揺した。信一郎の心も、それに連れて、軽い動揺を続けている。
車が、小川町の角を、急に曲ったとき、夫人は思い出したように、とぼけたように訊いた。
「失礼ですが、奥様おありになって?」
「はい。」
「御心配なさらない! 黙って行らしっては?」
「いゝえ。決して。」
信一郎は、言葉丈は強く云った。が、その声には一種の不安が響いた。
九
帝劇の南側の車寄の階段を、夫人と一緒に上るとき、信一郎の心は、再び動揺した。この晴れがましい建物の中に、其処にはどんな人々がいるかも知れない群衆の中へ、こうした美しい、それ丈人目を惹き易い女性と、たった二人連れ立って、公然と入って行くことが、可なり気になった。