후리가나로 읽는 일본 고전
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らんがくことはじめ
蘭学事始
菊池 寛
菊池 寛의 蘭学事始(らんがくことはじめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,575자 · 31화면
「前野氏にも、知らせとうはござるが、前野氏の麹町の住居までは、よほどの道程でござる。もう、初更も過ぎているほどに、知らすべき便はござらぬ。前野氏には、この次の機もござろう」
玄白は、もう黙っていようかと思った。自分の心持だけは、これで済んでいる。前野を、是非とも明日の企てに与らせねばならぬほどの義理も責任もないと思っていた。が、彼は自分の心の底に、良沢の来ないことを欣ぶような心が潜んでいることに気づいているだけに、そのまま黙っているのが疚しかった。
「いや知らすべき便がないとは、限り申さぬ。本石町の木戸際には、さだめし辻籠がいることでござろう。手紙を調え、辻籠の者に置き捨てにいたさすれば、念がとどかぬことはござるまい」
玄白の考えは、時にとって名案だった。
「それは、天晴のお心付きじゃ」
一座の者は、皆それに賛成した。玄適が、すぐ手紙を書きにかかった。
玄白は、自分で良沢を呼びながら、一方それを悔いている心持が動いていないこともなかった。が、ふと自分の持っているターヘルアナトミアのことを考えると、また別な心持が動いた。彼は、その珍書を皆の前で披露するときの、得意な心持を考えた。