후리가나로 읽는 일본 고전
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
中村 清太郎의 ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 132,905자 · 262화면
平らな岩の歩廊に腰を据えて、上流の方を、油で、小品に写生した。谷の中に坐った大岩塊と、そのそばで主流が、バアッとこぼすように一段落ちる、滝のあたりを描いて見たが、結局情なくなって筆を投じた。しかし緊張の連続の間に、そのくらいの余裕が、ようやく出て来たわけだ。それに助七たちが、大きな岩魚を釣って来た。あまりみごとなので、これも写生帳に水彩で姿をとどめた。この帳面は、手近にあったので、ひさびさに開けて見たら、傍に「長さおよそ一尺二寸、巾三寸位」と記してある。えらい歯をしている。それに、ここの夕暮、上流の楔形の空を横さまに、谷をまたいで虹の危橋が架った景色は、不思議に強い印象をとどめた。
黒部川の岩魚の挿図
ここからアゾ原へ行く途中だったろう。例の霧を吹くような、羚羊のするどい声が、仙人山の木隠れに聞えて来て、とうとう幾頭か急斜を走る、というより飛ぶ姿が見られた。意外な侵入者に、彼らが楽園の甘夢を破られて、驚いて逃れ去ったものだろう。この辺、とくに後立山の側など、今でも彼らのよい棲家らしい。今から、それも十年近く前になるが、この上の仙人池のほとりで、毎日筆をよごしていた時、山人と二人、笹の丸小屋の中で昼飯を食っていると、急にえらい足音が、ドタドタ響いて来た、何だろうと首を出して見たら、すぐ横の岳樺の間から、大きな