후리가나로 읽는 일본 고전
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
吉川 英治의 剣難女難(けんなんじょなん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 243,807자 · 482화면
と同じように、長髯の武士――即ち鐘巻自斎も、読みかけの「剣術不識篇」を懐に納めて、この奇怪な男をしばらくじっと見すえている。
「いかにも拙者は、その時の鐘巻自斎に相違ないが、それが一体何といたした」
「ウム、てめえが自斎らしいたあ、その髯と風態で立場から感づいていたんだが、はッきり分った以上は、もう一寸も馬はやれねえ」
「だまれ、この山中へさしかかって、馬を出さぬとは理不尽な言いがかり」
「いけねえいけねえ、何と言おうと、汝が鐘巻自斎と聞いちゃ、一刻もこの馬は貸しておけねえんだ。さ、今に目にもの見せてやるから、鞍を降りてしばらくそこに待っていろ!」
言うが早いか、馬方は猪の鼻台の平地を斜ッかけに駈け出した。
と、行く手に鬱蒼たる一むらの夏木立。ドウッと万雷がとどろくような音が、その密林の下から響いて来る。大妻籠十七峯の流れをあつめて落つる女滝男滝の霧しぶきは、その近くの草木を濡らして、満山の風を呼んでいる。
「待てッ」
自斎は鋭い声を投げた。道中馬の背から跳んだ彼の体は、疾風を衝いて怪しげな男の後ろへ追いかかった。
馬方は雑草の根に足をすくわれて、一、二度勢いよく転んだが、脱兎の如く逃げ廻って、ばらばらと女滝の岩頭に駈け登った。