일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

僕はやはり父が死ぬるとは容易に信じなかったのだろう。

間もなく父は福岡の大学病院に入院して手術を受けることになり、母が附添って出掛けて行った。そうするとまた家のうちは薄暗くなり、寒い風が屋根の上を吹いた。僕はときどき、走り廻った揚句など、火照る感覚の向に、ひんやりした西空の翳をおもい出すことがあった。庭の池には厚い氷が張り、雪囲いの棕櫚の藁は霜でふくれ上っていた。ふと、僕はひっそりした庭が病気しているように思えると、庭の方でもじっと僕を見つめているように思えるのだった。日南の縁側には福寿草の鉢が置いてあった。あの褐色の衣の中からパッと金色に照り返っている蕾が、僕には何だか朽葉色の夜具の下で藻掻いている熱病の時の父を連想させるのだった。父はまたあの嶮しい翳を額に押されて、ひどいあがきをつづけている――僕には手術ということがはっきり解らなかったが、もの凄い感じだけがわかった。やがて父は旅先から帰って来た。手術は無事に終ったらしかった。だが、家へ戻って来ると父はすぐ奥座敷に引籠った儘、寝ついたままであった。僕はその病室に入ることを許されなかったし、父の容態がどうなっているのか分らなかった。