일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

ひょっとすると僕はまたあの雷雨の後の爽やかな気分が訪れてくるのかとおもった。ところが、ある日、隣境の黒い板塀が取除かれて、そこから隣の空家へ行けるようになると、子供たちは昼間はその空家の方で過すことになった。

僕はその隣の家に絡まる不思議なことがらを知っていた。その家は以前は酒屋だったのが死絶えてしまったのだ。僕は幼い時、表の方からよくその店さきに遊びに行ったことがあるし、その家族の顔もよく覚えている。ある年そこの主人が亡くなると、若い息子がフラフラ病になった。そのおとなしい青年は幼い僕にガリバアの話などしてくれたこともあったが、僕はもう長い間その姿を見なかった。僕はある朝その青年が死んだということを聞かされた。恰度その少し前、鴉が妙な啼きかたをしていたので、やっぱし、そうでした、と母は不思議そうな顔をした。それから次いて、そこの主婦さんが殺された。一週間ばかし前に傭った小僧が夜明けがたその主婦さんの枕頭に立ち斧を振って滅多打にしたのだ。犯人は有金を攫って逃げたらしかった。それきり、そこの酒屋は表戸が鎖され長らく棲む人もなかった。僕は黒塀越しに見える隣の松の梢に月が冴えているときなど、その方角を振向くのも怕い気持がした。