후리가나로 읽는 일본 고전
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
吉川 英治의 大岡越前(おおおかえちぜん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 218,436자 · 437화면
「あッ、ごめんなさいっ」
と、人ごみの間で、大きくわめいた。幼な子の悲鳴もつんざき、市十郎の胸をぎょッと衝ッた。
お燕は、久助の背なかだった。子どもを背負っているくせに、久助は、ふらふらと、美少年のうしろを窺い、その腰にある印籠を、掏り取ったのだ。
ところが、美少年は、一人ではなかった。数歩離れて、そのうしろから、同じように、黒布で、頭巾結びに顔をつつんだ侍が、ひそかに随行していたのである。
「おのれッ――」と、ほとんど間髪も容れず、久助の襟がみは、その武士の迅速な手に引ッつかまれ、路傍の煮売屋の葭簀へむかって、もんどり打つばかり叩きつけられていた。
「何とした? 半之丞」
「お腰の印籠がございますまい」
「ほ。……ないわ。盗まれたか」
「こやつめです」
半之丞とよばれた随行の武士は、久助の手から印籠を引ッ奪くって、
「お気をつけ遊ばしませ」
と、主人らしい美少年の手へもどした。
たちまち周りは人間の黒山をつくりかけた。口々に、掏摸だ、盗ッ人だと、罵り騒ぐ。――だが、葭簀のすそに、腰をくだいて、背中の子どもと共にベソを掻いている久助のあえない姿を見出すと、群集の眼は、皆まごついて、腑に落ちない顔を見合せている。