후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,314자 · 398화면
女は涙をはらりと落して、竜之助の前にがっくりと結立ての髪を揺がしての歎願です。
竜之助は眼を落して、しばらく女の姿をみつめておりましたが、
「これはまた大仰な。試合は真剣の争いにあらず、勝負は時の運なれば、勝ったりとて負けたりとて、恥でも誉でもござるまい、まして一家の破滅などとは合点なり難き」
冷やかな返事です。
女が再び面をあげた時、涙に輝いた眼と、情に熱した頬とは、一方ならぬ色香を添えつ、
「何もかも打明けて申し上げますれば、兄はこのたびの試合済み次第に、さる諸侯へ指南役に召抱えらるる約束定まり、なおその時には婚礼の儀も兼ねて披露を致す心組みでおりましたところ……」
「それは重ねがさね慶たきこと、左様ならばなお以て試合に充分の腕をお示しあらば、出世のためにも縁談にも、この上なき誉を添ゆるものではござらぬか」
「それが折悪しく……いや時も時とてあなた様のお相手に割当てられ、勝ちたいにもその望みはなく、逃げましてはなお以て面目立ちませぬ。ただ願うところはあなた様のお慈悲、武士の情けにて勝負をお預かり置き下さらば生々の御恩に存じまする。兄のため、宇津木一家のために、差出がましくも折入ってのお願いでござりまする」