후리가나로 읽는 일본 고전
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
小出 楢重의 小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,351자 · 657화면
ただ時に大きな月がおりて来たり、波が動いたり、その波と波との間を何か美しいお姫様が流れて来たり、それが助けられたり、馬に乗せられた罪人の娘が引摺られて来たり、寒い時に役者の素足がふるえていたり、切腹したり、雪が降ったり癪を起こしたり、刀を抜いたりした断片を覚えているだけである。それが何という芝居でどんな筋であったかも皆忘れてしまっている。それよりも私は私の側に並んでいた芸妓の話や、父の顔や、女将の肖像、盛られた御馳走の方を多く記憶する。あるいは時には芸妓の代りに母と女中であったりしたこともある。
私はその後、学校生活のためや、肝腎の父が死んだりして十年以上も殆ど芝居を見ずに暮してしまった。
今度は父の代りに私は友人に誘われて再び芝居を見るようになった。十何年間芝居というものを見なかった私は、随分進歩も変化もしたことだろうと思って出かけたところが、不思議なことにも芝居の中はやはり昔のままの姿で見物人は私の父と同じ真似をしていた。芸妓が何かたべながらわさわさとしていて、舞台では十幾年前と同じ役者が同じ顔をして同じせりふを申し上げていた。私は芝居の国では地球は回転しないのかと思った。