후리가나로 읽는 일본 고전
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,032자 · 216화면
一時間と家の中にじっとしていたことはなかった。飯をたべながらも茫然として一つ所を見詰めていた。急に思いだしたように笑いだすことがあった。しかし、すぐに憂鬱な表情になった。
それは彼の心が微妙に目まぐるしく何ものかに追い廻されているような感じであった。事務室で仕事をしながらも彼は大きい声で出鱈目な節をつけて唄をうたっていた。それは不自然に自分をけしかけているとしか思えなかったほどに。――
静かで朗かであった家の中の空気が次第にわたしの心に暗い影を投げはじめた。兄は最早わたしに対して高等文官の試験については何事も言わなくなっていた。彼自身のことだけが、ぎっしり彼の心を埋めているように見えた。
その冬の休暇は慌しく過ぎていった。わたしが東京へ帰るとき、風の寒い夜であったが母と兄と嫂とが、新しく町はずれに出来た軽便鉄道の停車場へ見送りに来てくれた。人気のない寒い構内にわたしたち四人がならんで立っていたのであるが、そのとき、わたしの横に立っていた兄が急にうつむいてにやりと笑った。しかし彼の顔は彼の方を見詰めていたわたしの視線を感ずると不意に厳粛な表情に変った。