후리가나로 읽는 일본 고전
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,032자 · 216화면
というので、わたくしはほとんど無意識のうちにみじかい読経をすましてから、羊羹をすすめますとこの男はいかにもうまそうに羊羹二本を平げ、「これで充分です、ではあとがつかえておりますから」と言って立ちあがったのでございます。これは無智と言っていいのか、大胆不敵と言ってよいのか、わたくしは、妙な腹立たしさをかんじてまいりました。しかし、この男が別室へ立ってゆくとき、ちらりと彼の横顔が涙にぬれているのをみるとだしぬけに、自分もいっしょになって号泣したいような気もちにおそわれたのでございます。わたくしは典獄のいなくなった部屋の中でながいあいだ黙祷をつづけておりました。やっとあかりがついたばかりのときでしたがテーブルの上には蜜柑の皮が山のように乱雑につみあげられ、それが今、わたくしの眼の前をとおり去った人びとの顔を、はっきり思いおこさせるのでございます。このときほどわたくしは残忍な呪わしい記憶からのがれることのできなくなっている自分をハッキリとかんじたことはございません。もうあとひとりで今日の予定が終るのだと思うと、そのまま突っぱなされる自分がおそろしく、むしろこのまま刑の執行がいつまでもいつまでもつづくことのほうがましだと思ったほどでございます。