후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
甲斐はまた道へとびだし、男は追って来た。道へ出たとたん、男はちょっと躓いた。ほんの僅かに躓いただけであるが、その僅かな隙を覘っていた久馬が、巧みに、持っていた綱宗の下襲を投げかけた。それはひろがって、男の頭からかぶさり、男はまた躓いて、下襲をかぶったまま、転倒した。
玄察がすばやく、男の背へ馬乗りになって押えつけ、久馬が刀を奪い取った。案内の侍が提灯をかかげて走って来ると、甲斐は「寄るな」と手を振り、玄察に向かって、放してやって下さい、と云った。
「誰か呼んで来い」と玄察がどなった。
だが甲斐は、それには及ばないと制止し、近よっていって、男を頭から包んでいる下襲を、取ろうとした。しかし、思い返したように、その手を止めて、「よく聞け」と男に呼びかけた。
「私はおまえを知らない」と甲斐は云った、「顔も知らないし、姓名も知らない。だが、おまえがなぜ私に闇討ちをしかけたか、という理由はほぼ察しがつく」
「斬れ、おれを斬れ」
「おちついて聞け、私は今夜のことは忘れる、いいか、今夜はなにもなかったことにして、おまえに考える時間をやる」
男はまた「斬れ」と喚いた。
「おちついてよく考えるんだ」