후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
雪洞を屏風の外に置いたので、そこはほの暗く、いた香が爽やかに匂っていた。
「禅の俗書にこんな話しがある」
横になって暫くしてから、甲斐が、穏やかな口ぶりで云った。
「弘安四年に、元寇の役があった、そのとき執権時宗は、某とかいう禅僧のところへいって、大事到来せり、いかんか向前せんと訊いた、禅僧某はかねて時宗の師家だったが、問いに対して、迷惑すべからず、と答えた、時宗は大喝し、元軍討滅の決意をかためたという」
これはおかしい、と甲斐は云った。時宗はそのまえに、元の国使を鎌倉で斬っている。他国の王の使者を斬るということは、そのときすでに決戦の覚悟をきめていたのだろう。にもかかわらず、元軍が来寇したと聞いて、大変なことになった、どうしたらいいかなどと、問いかけにゆくとは思われない。
「楠公にもこんな話しがある」と甲斐はゆっくりと続けた、「兵庫の湊川で、足利勢と決戦するまえに、正成はやはり禅僧それがしを訪ねて、生死関頭を訊いた、禅僧それがしは、一剣天によって寒し、と答えた、正成はなお、その落所は如何と問い返し、僧はこれに大喝を与えた、それで正成は生死を超脱し、いさんで湊川へ出陣したという」