일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면

아오조라 문고

とやがて甲斐が続けた、「相模太郎も、楠木正成も、いちごの大事にたち向かう覚悟はできていた、そのときを前にして、禅僧の門を敲くなどということはある筈がない、これは、恵林寺の僧の逸話と同じように、禅門の作った俗話にすぎない、私はそう思った、ながいあいだ、私はそう思っていた」

甲斐はそこで、また暫く黙った。感情を抑えているようでもあり、自分の云っていることに退屈した、というふうでもあった。けれどもまもなく、もっと穏やかな声で、殆んど独り言のように、甲斐は続けた。

「これらの逸話は、禅の精神を伝えるものではなく、人間のかなしさ、弱さをあらわしているのではないか」と甲斐は云った、「私はちかごろそう思うようになった、時宗や正成が、禅僧に覚悟を問わず、泰然と事にたち向かったとすればいさましい、だが、平生打坐精進して、すでに生死の大事を超脱していながら、そのときに当面して、やはり師家の門を敲かずにはいられなかった、というほうが人間らしい」

「人間とは弱いものだ」と甲斐は言葉を継いだ、「人間はかなしく、弱いものだ、恵林寺の僧がもし大悟徹底していたら、火中であんなことは云わず、黙って静かに死んだことだろう、おそらく従容として、黙って死んだのが事実だと思う、火中にあって、心頭を滅却すれば火もまた涼し、などというのは泣き言にすぎない