후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
彼女は兄の六郎兵衛のことを語り、自分が兄のために身を売ったことを語った。自分では兄のためだと思ったし、兄に強要されたのも事実であるが、その後の自分をかえりみると、自分でもそれを嫌ってはいなかったようだ。貧乏な生活よりも、衣食住に不足のない暮しがしたい。どうせ望ましいような結婚はできないのだから、いっそ気楽な生涯を送るほうがいい。そう思って兄の云うままに妾奉公もしたし、隠し売女もしたし、寺のかよいだいこくまでしたと、おみやは語った。
玄四郎はそのとき、えっという眼つきをした。
「渡辺九郎左衛門」と彼は反問した、「それは、どこの御家中でしたか」
「仙台さまの御家来でした、御存じの方でしょうか」
「いや、――いや知りません」
玄四郎は不明瞭に口を濁し、「あとを続けて下さい」と云った。
おみやは語り続けた。
玄四郎はさりげなく聞いていたが、心のおどろきは大きかった。そこにも、万治の大変が尾を曳いていたのである。柿崎六郎兵衛が一ノ関にとりいって、月づき多額の手当を貰い、駿河台下に道場まで開いたこと、そしておみやを酒井邸の女中奉公に入れたのも、一ノ関と雅楽頭との関係を、さぐりだすためであったことなど。