후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
一ノ関の兵部宗勝も、帰国の途中で、仙台に滞在していたが、彼は名目上、直参大名に列しているので、そこへは出ずに、国目付の宿所へ年賀にゆき、それが済むと一ノ関へ帰った。
兵部が宿所へ年賀にいったのは、彼の立場の微妙さを証明していた。すなわち、身分としては三万石の幕臣でありながら、その知行は伊達本家から出ており、知行所はもちろん伊達領内にあるため、伊達の家臣と共に礼をとる必要はなくても、一ノ関の館主としては、国目付監察下にあるからであった。
けれども、そのとき年賀にいったのは、ほかにもう一つ理由があった。
それは兵部が、江戸から仙台に着いて以来、里見十左衛門がしきりに面会を求め、兵部が拒絶すると、なにやら書状めかしいものを、国目付に呈出した。内容はほぼわかっている、まえにもあったことで、政治の紊乱という名目で兵部を糾弾したものだ。ところが二人の国目付は、「こういうものを読むわけにはいかない」と拒んだ。
――老職の手を通じたものなら受取ろう。
と云ったそうで、もちろん老職がそんなものを国目付に取次ぐわけがないから、十左衛門の奔走は徒労に終ったのであるが、兵部が年賀にいったのは、その礼も兼ねていたのであった。