일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면

아오조라 문고

おみやは新八の望んでいることが、おぼろげにわかるような気がした。人の心に、もっとじかにしみいるもの。この世の悲しさや、嘆きや、人の情の美しさを、もっと直接にうたい伝えるもの、――義太夫浄瑠璃でもなく長唄でもない、新らしい曲と唄。それはおそらく、彼自身の経験から生みだされるものであろうし、彼なら生みだせるにちがいない。おみやはそう思って、改めて新八の顔を見まもった。

「たやすいことじゃないわね」とおみやが云った。

「たやすいことじゃない」と新八は頷いた。

自分は追放ということにきまってから、薩摩外記について浄瑠璃の稽古をして来た。もちろん湯島の家の許しを受けたうえで、もう二年ちかく稽古にかよい、そのかたわら、隆達節や加賀節などの、小唄の類も聞いてまわっている。そしていま、自分のものを一曲、作りかかっているのだが、三味線の手がむずかしくて、思うように曲がまとまらない。曲のうち二たところだけ、どうしても思うような手が出てこない。それでいま苦心しているのだ、と新八は云った。

彼はそこまで云って、おみやがじっとこっちをみつめているのに気づき、てれたように笑いながら盃を取った、「いい気になって、自分のことばかり饒舌っちまった、一つ酌をしよう」