후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
ということはもみ消さなければならない。いかなる手段を用いても、それだけは発表させてはならない、と甲斐は思った。
甲斐は成瀬久馬を呼んだ。
たぶん、おくみとの問答を聞いて、丹三郎のことを知ったのであろう、久馬は眼を赤くしていた。甲斐はそれには気づかぬ顔で、これから屋敷へ帰ること、みんな馬でゆくから、すぐに馬の手配をすること、などを命じ、久馬が去ると、おくみに「茶を一服」と云って居間へはいった。
おくみは行燈を明るくし、蚊遣りを焚き、庭に面した障子をあけてから、茶の支度をしに去った。
甲斐の表情はもう平静になっていた。双眼にあらわれた昂奮の色も消え、硬ばった頬のあたりもゆるんで、唇にはいつもの穏やかな、人の心をなごやかにするような、微笑さえうかんでいた。
おくみは女中に手伝わせて、茶の道具をはこんで来、土風炉で、茶を点てた。
甲斐は暗い庭を見やりながら、今年はまだ芙蓉が咲かないな、と思った。その庭の芙蓉はいつも、よそよりもずっと早く咲いた。大輪のみごとな花で、毎年いまじぶんになると、庭の暗がりに白く、ぼうと、にじむように咲いている花を、眺めることができた。