후리가나로 읽는 일본 고전
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
柳田 国男의 海上の道(かいじょうのみち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 182,344자 · 353화면
三
三
ともかくも鼠が海を渡って行くのには、たった一ぴきだけでは冒険をしなかったようである。前にも言っておいた瀬戸内海の西部、伊予の黒島の鼠の話というのは、『古今著聞集』の巻二十に記録せられて、古い話であるが作りごとではなかったと思う。場処もどの辺ということが土地の人にはよくわかっている。矢野※保という荘園のうちで、人里より一里ばかり離れたところだとある。安貞の頃(一二二七)、桂はざまの大工という網人、網を曳こうとして窺いありく時、この黒島のほとりの磯の水面がおびただしく光るのを、魚とばかり思って引いたところ、それがことごとく鼠であった。鼠は浜に引上げられて皆ちりぢりに遁げうせ、島にはそれ以来鼠満ち満ちて畠の物を喰い失い、耕作ができなくなったという話。つまりは命がけで海を渡ろうとしていた鼠の群を、物のまちがいとはいいながらも、介抱してつれこんだことになったのである。
京都の読書人には、是はたしかに珍事異聞の一つであったろうが、話が中央まで伝わったのは是だけでも、他にも同種の現象が無かったとは言い切れない。時刻は深夜だったらしいから、誰にも見つからずに、また魚類ともまちがえられずに、海を渡っていた鼠の群は幾らもあったかと思われる。