후리가나로 읽는 일본 고전
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 71,989자 · 144화면
“Sleepy, sleepy, sleepy, ………”
と、三度くり返す間に、もう黒ん坊は首をぐたりと椅子の背中に乗せて、口をあーんと開いて了う。
「馬鹿!」とか、「詐欺!」とか云う悪罵の声は、だんだん観客席の隅々から頻発されるようであった。黒ん坊が嬢の暗示にかゝって、げらげらと止め度もなく笑い出したり、めそめそと悲しそうに泣き出したりした時分には、もう見物は一面に騒ぎ立ち、舞台の音などは聞えないくらいになった。
最後に、彼の女は一人の黒ん坊に面と向って、爛々たる瞳で睨みつけながら、右手の人差指と親指とをビシッと鳴らすと、彼の五体は忽ち鉄棒のように硬直してしまった。其れを縁台のように横えて、彼の女は上に腰を掛けたり踏み歩いたりしたが、黒ん坊の体は折れもしなければ曲りもしない。………
その時、見物人の喧囂は絶頂に達して、罵詈、嘲笑、憤怒の言葉が場内に漲り溢れた。
「引っ込め! 毛唐! 馬鹿野郎!」
「黒ん坊と馴れ合って居やぁがる! ちゃんと知ってるぞ!」
「八百長だぞ! 分ってるぞ!」
口々に喚き立てる野卑な叫びが、雨の如く降って来るのを、舞台の正面に屹然と立って聞いて居る嬢の顔には、微かに紅が潮して来るようであった。