후리가나로 읽는 일본 고전
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まおうものがたり
魔王物語
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 魔王物語(まおうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,506자 · 23화면
と、云いかけて懐中から巻物を執りだして、「これは蒼生心経術と称うる病者を救うの呪法である、これを汝に遣わすから、習い覚えて病人を救うべし」
平太郎はにじりよって其の巻物を手に受けた。
「此処で一読するが宜しからん」と、魔王は云った。
平太郎は云うとおりに其の巻物を開けて中の文字に眼をとおした。其の時二更の鐘が鳴った。
「然らば、我はこれより奥州の金華山に出発する、汝に逢うもこれ限りなるぞよ」と、云って魔王は起って縁側の方へ出て往った。
平太郎も別れが惜しいので後から跟いて往った。庭前には籠が据えてあって、其の傍には天狗のような異形の者が五六十人ばかり、下弦の月の光の下に見えていた。魔王が庭におりるとそれ等の異形の者は、一斉に地上に頭をさげて礼をした。魔王は籠の中にゆったりと乗った。と、空から怪しい雲がおりて来て、其の籠をはじめ異形の者を包んでふうわりと空へ飛んで往った。
九月になって新八郎が死亡したので、平太郎は稲生家を相続することになり、元高五百石を給せられた。此の平太郎は江戸の霞ヶ関にあった藩の上屋敷に来たこともあったので、逢って本人から其の話を聞いたものもあった。