후리가나로 읽는 일본 고전
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まおうものがたり
魔王物語
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 魔王物語(まおうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,506자 · 23화면
大きな樹の幹に其の指端が冷たく触れた。……たしかに天狗杉だと彼は思った。彼は其のまま其の根本に腰をかけた。
小さい雨がぼそぼそと降っていた。彼は闇の中を静に見廻しながら小半時も其処に黙然としていたが、樹の葉に触れる微風の、さ、さ、さ、と鳴るばかりで別に不思議に思うこともなかった。で、もう帰ろうと思いだしたが、此のまま帰っては此処へ来た印がないと思ったので、足もとの草を※(「てへん+毟」、第4水準2-78-12)りとって塔の処に探り寄り、それを塔の一番上の擬宝珠に結びつけて、それから草鞋の紐をなおして降りかけた。
千畳敷の平坦な処へおりたところでふと怪しいものと擦れ違った。それはたしかにものの胴体らしかった。平太郎ははっと思ったのでいきなり刀を脱いて切りつけた。其の刀は金属によってかちりと受け止められた。平太郎はまた刀を揮った。それもまた支えられた。そして、刀の尖端から火花が散った。
「平太郎殿、権八じゃ」と、親しみのある声で云った。
平太郎は刀を引いたが心は許さなかった。
「貴殿をやった後で、心もとなくなって来たから、見に来たところじゃ」
平太郎と権八は刀を収めて並んで立った。