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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
漫画の麻生豊画伯が、貴公どんな具合か腹を見せないかというと、名人は胸を開いた。一同これをのぞき込んだが、別段大してふくれてもいない。いまの一笊はどこへ入っているのであろうと思う。
博士が、まだ一笊料理場の方にある筈だから、もう少しどうかな、とからかうと、
「もはや、叶わぬ」
と、呟いて、名人は横に手を振った。
文化十四年二月十三日に、江戸両国の柳橋に、大食競演会というのが開かれたことがある。これへ出席した選手桐屋五左衛門というのは、蕎麥五十七杯を食ったあとで、三合入りの盞で酒二十七盃をのんでから、めし三杯に茶九杯を喫し、さらに甚句を唄って躍りだしたという剛の者であった。次に、天保二年九月七日やはり柳橋万八樓で催した大食会では、市ヶ谷大原町木具職遠州屋甚七というのが、十六文盛りの蕎麥四十二杯を平らげ、御船方の国安力之助が三十六杯、浅草の神主板垣平馬が、同じく三十五杯。
十六文盛りの蕎麥というのが、どのくらいの量であるか分からないが、わが木村名人も文化、天保のころの仁であったならば、この競技会へ自信たっぷりで出場する力量があったにちがいない。
二
文化の大食会のときには、丸屋助兵衛というのが饅頭五十、羊羹七竿、薄皮餅三十、茶十九杯をあおってナンバーワンとなり、次席が三升入りの大盃に酒六盃半をのみ、続いて水