轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
岩魚
一
石坂家は、大利根川と榛名山と浅間火山との間に刻む渓谷に水源を持つ烏川とが合流する上州佐波郡芝根村沼之上の三角州の上に、先祖代々農を営む大地主である。この三角州は幕末、小栗上野が官軍の東上に抗することの不可能であるを知って、江戸城を脱け出し、金櫃に似た数個の箱を運んで上総国行徳地先から舟に乗って家来十人ばかりと共に所領の上州群馬郡三の倉の邸へ志し、次第に溯江して大利根に出で川俣、妻沼、尾島、本庄裏へと舟を漕ぎ上がり、最後に烏川と利根川と合流する地点に上陸して、櫃を運び上げた場所であると伝えられる。石坂家の邸は、間口十二間、奥行八間半の総三階、土蔵三棟、物置二棟、大きな長屋門に厚い築塀をめぐらし、この地方ではまれに見る豪壮な構えである。所有の田地田畑は、三十町歩を超えているらしいという。
この三角州から西を望むと嶺の白い甲州の八ヶ岳、妙義山、淺間山。西東には秩父連山。北方には榛名山、上越国境の谷川岳、武尊山、赤城山。東北には遠く奥日光の男体山が雪を着て高く聳えるなど、まことに景勝の地を石坂家の邸は占めていた。
間口十二間、奥行八間半といえば、一階だけでも百二坪の広さである。