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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
孫に嫁を迎えた喜びも束の間、たみは六十九歳を最後に他界したのである。また家族は母と息子夫婦の三人となったが、三十七年の日露戦争がはじまった年に嫁さんは男の子を生んだ。これに、清一となづけた。清一が二歳となった翌三十八年の盛夏のころ、雅衛はこれも突然姿を晦ましてしまったのである。なんたる運命に魅入られた石坂家であろう。
清一は二十三歳のとき、大正十五年武州児玉郡大幡から、嫁のきみを入れた。利根川の対岸宮郷村から嫁にきた裕八郎の妻ふゆは、孫清一が結婚する二年前の、大正十三年に一生を終わっている。
嫁のきみが、昭和三年に男の子を生んだので、雅衛のところへ十七歳でよめにきたみよは、四十四歳ではじめて祖母になった。嫁が子供を生むと母のみよは、当家に伝わる運命の日がやがて来るのであろうことを予知して、息子清一の一挙一動に注意を怠らなかった。村の鎮守さまはもちろんのこと、信州の善光寺さまへも、紀州の高野山へも一家安泰を願かけた。賢彌となづけた孫が二歳となった春など、自ら旅支度を整えて、善光寺から越前の永平寺へ、京都の神仏を歴詣し、高野山から伊勢大神宮へ出て、成田の不動さままで頼んで沼之上の家へ帰ってきた。