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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
鮮血が、奔った。
双牛の後脚に、綱が掛かった。その途端に孫七牛は綱をはずして、西の口から村落の方へ向かって、疾風のように逃げだした。
五
その夜私らは、星野仙一氏方へ厄介になることになった。そして、食卓を囲みながら、二十村郷の闘牛のしきたりや、闘牛は単なる農村の娯楽でなく、農家増産の一方法であること、牛と飼主との愛情などについて、こまごまと話を承ったのであるが、今回は紙数が尽きたため、これらのことは次の機会に記すことにした。
その夜、二十村郷へきて、も一つ驚いたのは越後の豪農の大生活のことである。星野氏方の建物の大きさと広さ、物に豊かなことは、現在都会に住んでいる私らが見れば、むしろ一つのナンセンスでもあった。
翌朝、大内村に孫七さん方を訪うて、孫七牛を見舞うた。
孫七牛は、牛舎のなかに眼を閉じて、おとなしく跼っていた。角の直後の脳天に、まだ黒い血がにじんでいるのを見た。