轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひやめしものがたり
ひやめし物語
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,861 字 · 31 页
三
北ぐにの春はおそく来て早く去る、お城の桜が散ると野も山もいっぺんに青みはじめ、町なかの道は乾いて、少しの風にも埃立つようになる。……そんな或る日、中村へ養子にいっている三兄が客に来た、彼はちょうど武経考証という本の綴じ直しをしていたところで、嫂から知らされたが、手が放せなかったから続けていると、おいどうしたと云いながら、三兄がずかずかやってきた。
三
「おまえの部屋は相変らず混沌たるものだな、まだその道楽が止まないのか」又三郎は障子を明けて覗きこんだ、「読みもしないものをこうむやみに溜め込んでもしようがないじゃないか、本屋でも始めるのかい」
「読まなかあありません、読みますよ」
「読みますかね、へえ、なんのためにさ」
「なんのためと云ったって、そりゃあ、読みたいからでさあね」
「まるっきり尻取り問答だ、いいからあっちへゆこう、酒と肴を持って来てあるんだ、粂さんもすぐ来るだろう、今日は四人で飲むんだよ」
「なにかあったんですか」
「飲みたいからでさあね」
又三郎が去ってからも、大四郎はなお暫く綴じ直しを続けていた。かれら兄弟は性格がよく似ている、暢気なところも、無欲で物に拘らないところも、飄ひょうと楽天的なところも、ただ三男の又三郎だけは口が達者で、四人分を独りでひきうけたように饒舌る、母親に云わせると三つの年に縁側から