轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1966(昭和41)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,120 字 · 58 页
と男は云った、「こんどうちから、評判のいい小料理飲み屋の番付を出すことになった、この沢茂ってえ店はうまい物を食わせると聞いたから、それでためしに寄ってみたんだ」
「まことに相済みません」とあるじは続けさまにおじぎをし、頭のうしろを掻いた、「こんなしくじりは初めてでして、いつもお客さまにはよろこんでいただいているんですが」
「もういい、勘定をしてくれ」
「いいえとんでもない、お気に入らない物を差上げて、あっしのほうからお詫びをしなくちゃあなりません」
「よしてくれ」と男は高い声を出した、「おらあ勘定をふみ倒す気で文句を云ったんじゃあねえぜ、この沢茂の名を思えばこそ」
「まあ親方」と中年増の女が出て来た、このうちの主婦だろう、小さな紙包みを持っていて、それをすばやく男の袂に入れた、「どうか親方、お勘定の心配なんぞなさらないで、いつでもお好きなときにいらしって下さい、その代り」と云って彼女はあいそ笑いをした、「――瓦版のほうはよろしくお願い致します」
「親方」と房二郎が呼びかけた、「いや、おまえさんだよ、文華堂の親方、木内桜谷さんとかいったね」
男はぎょっとしたように振り返った。