轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めおとちょう

めおと蝶

山本 周五郎

「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页

青空文庫

とすれば、兄の力ではそれが不可能であったか、じっさい知也の謀計が死にあたいするものか、どちらかに違いない。

「――兄ではだめだ、兄では、……それではほかにどんな方法があるだろうか」

国家老の井巻済兵衛。父方の叔父に当る中老の黒部武太夫、母方の伯父で老職肝入をしている松島外記。……頼めそうな人をある限り思いだしてみた、けれどもやがて「自分が上村良平の妻である」という事実につき当った。

「――そうだ、自分は大目附上村良平の妻だった、自分にはなにもできはしない、仮に方法があったとしても、上村の妻である自分が他の男のためになにかするということは赦されない、世間も人も、赦さないだろう」

ほのかに明けがたの光のさす小窓を見あげながら、信乃は独りで絶望の呻きをあげた。

明くる日の午後、良人が城から今夜も帰らないという使いをよこした。それで信乃は、乳母に甲之助を抱かせて、ずいぶん久方ぶりに実家の住川へいった。なにか事情がわかるかと思ったのであるが、母も兄嫁も妹もそのことはなにも知っていなかった。

「なんだかむずかしいことばかり云って、ごたごたばかり起して、男の方たちっていやだわねえ、甲さん」