轻松读懂日语经典作品
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ゆうれいかしや
ゆうれい貸屋
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页
「あらいやだ、よして頂戴よ、そんな」
「なにそうでねえ、おれも辰巳じゃあ五六遍遊んだことがあるが、おめえみてえな粋な姐さんにゃおめにかかったことがねえ、ゆうれえでなけれあ、唯はおかねえところだ」
「あらあんた、うまいこと云うわねえ」
染次姐さんの幽霊は上半身をくねらせ、こっちを斜交いに睨み、そうしてなまめかしく袂で打つまねをした。
「おらあ世辞を云うなあ、嫌いだよ」
「そんならあたしを、おかみさんにしてくれるウ」
「ゆうれえでなけれあな」
「いいじゃないのゆうれいだって、昼間はだめだけれど、夜だけなら煮炊きだって洗濯だって出来るし、そのほかにも世間のおかみさんのすることなら、たいていなことはしてあげるわよ」
「うめえような話だが、まさかね」
「疑うんなら、今夜ためしてみたらいいじゃないの、お酒の支度もしてあげるし、お肴も作ってあげるわ」
弥六は頭を掻いた。姐さんを見て、また頭を掻いて、ものはためしか、などと呟いたが、そこで急にがっかりして首を振って、
「そいつあいい、が、あいにく米も味噌もきらしてるし、酒もねえし、なにしろ先立つ物がすっからかんときてるんでな」
「しけてるのねえ、あんた」