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ゆうれいかしや

ゆうれい貸屋

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页

青空文庫

六 世間に楽な業いはなし

を貸してやるの、借りた人は自分の代りにそのゆうれいを先方へやって、怨みたいだけ怨むことができるわ、これなら自分で死ぬ必要がないし、相手の苦しむのを見ることができるんだから、それこそ一挙両得じゃないの」

「なるほど、そいつはいけそうだ」弥六ものり気になった、「そいつはものになりそうだが、しかし、その役はおめえがやるのか」

「あたしもやるけれど、それだけじゃだめ、お客が来るとすれば、いろいろ註文があるでしょ。だからもう五六人ゆうれいを伴れて来るわ」

「そう云ったって、そんなにゆう的がいるのかい」

「このあいだそ云ったじゃないの、ゆくとこへゆけなくて宙に迷ってる者が大勢いるって、口をかければ、五人や十人すぐに集まって来るわよ」

六 世間に楽な業いはなし

話はちょいとしたものである。商売になるかならぬか、とにかくやってみる値打ちはありそうだ。そこで弥六も坐りなおし、二人で商売上のこまかい点を相談し合った。客を呼ぶにはどうするか、派出代金はどれくらいが適当か、いろいろ検討してみた結果、これは相当なものになるというみとおしがついた。

「こいつあいい、こいつあ乙なもんだ、元祖ゆうれい貸屋、きっとひとしんしょう出来るぜ」