轻松读懂日语经典作品
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ゆうれいかしや
ゆうれい貸屋
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1950(昭和25)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,320 字 · 42 页
弥六は「ああ大家さん、大家さんだ」こう云うと、いきなりとび立って仏壇をあけて、口の中で念仏のようなことを云いながら、震える手で屑蝋燭へ火をつけ、欠け線香を立て、そしてちんちんと鉦を鳴らしたが、その早いのと、慌てたさまと、これらの訝しい動作を見た平作老は、彼が気違いになったと思ったのだろう、腰をあげて逃げだそうとした。それを弥六がとびかかって、
「大家さんお願えだ、どうかお経を読んでくんなさい、般若経をいちどでいい、あっしを助けると思って」
「読めってえなら読むが、しかし急にどうしたんだ」
「眼がさめました」弥六は泣きだして、「こっちの眼もあっちの眼もさめました、へい、これから働きます、仕事をします」
「おめえ、それあ本気で云うのか、まだ寝呆けてるんじゃあねえのか」
「本気にならなけれあとり殺されるんで、いいえ本気です、これから腕っ限り仕事をし、お兼も呼び返して、まじめに精いっぱい稼ぎます、ですからどうか早くお経を」
「それが本心ならめでてえが、なんでまたそのために経を読むんだ」
「それあお染……いいえまあ、それは、おやじにも、おふくろにも、このとおりだというところをみせて、安心してゆくとこへいって貰えてえんです」