轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

パノラマとうきだん

パノラマ島綺譚

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页

青空文庫

しかも、この島の上には、今通った森や、ここに見えている平野の外に、一つ一つが数哩ずつもある様な種々様々の風景が作られているのだ。それでは、沖の島の広さがM県全体程あった所で、まだ不足する筈ではないだろうか。お前には私の云っている意味が分るかしら。つまり私はこの島の上に幾つかの夫々独立したパノラマを作ったのだ。私達は今まで海の中や谷底や森林のほの暗い道ばかりを通って来た。あれはパノラマ館の入口の暗道に相当するものかも知れないのだ。今私達は春の日光と陽炎と草いきれの中に立っている。これはその暗道を出た時の夢からさめた様なほがらかな気持にふさわしくはないだろうか。そして、これから私達は愈々私のパノラマ国へ這入って行くのだ。だが私の作ったパノラマは、普通のパノラマ館の様に壁に描いた絵ではない。自然を歪める丘陵の曲線と、注意深い光線の按排と、草木岩石の配置とによって、巧みに人工の跡をかくして、思うがままに自然の距離を伸縮したのだ。一例を上げて見るならば、今通り抜けたあの大森林だ。あの森の真実の広さを云ったところで、お前は決して本当にしないだろう。それ程狭いのだ。