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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页
二十
いつとはなく、それらの一つ一つの世界を夜毎の夢の様に見尽して、旅人は、最後に渦巻くオーロラと、むせ返る香気と、万花鏡の花園と、華麗な鳥類と、嬉戯する人間との夢幻の世界に這入るのだ。だが、私のパノラマ島の眼目は、ここからは見えぬけれど、島の中央に今建築している、大円柱の頂上の花園から、島全体を見はらした美観にあるのだ。そこでは島全体が一つのパノラマなのだ。別々のパノラマが集って又一つの全く別なパノラマが出来ているのだ。この小さな島の上に幾つかの宇宙がお互に重なり合い、食違って存在しているのだ。だが、私達はもうこの平野の出口へ来て了った。さあ手をお貸し、私達は又暫く狭い道を通らなければならないのだ」
広原のある箇所に、間近く寄って見ないでは分らぬ様な、一つのくびれがあって、忍びの道はそこに薄暗く生い茂った雑草をかき分けて進む様になっています。その中におりて暫く行くと、雑草は益々深くなって、いつしか二人の全身を覆って了い、道は又、あやめもわかぬ暗闇へと這入って行くのでありました。
二十
そこにはどの様な不思議な仕掛けがしてあったのか、それとも又、ただ千代子の幻覚に過ぎなかったのか、一つの景色から、僅かばかりの暗闇を通って、今一つの景色へと現れるのが、何かこう夢の様で、一つの夢から又別の夢へと移る時の、あの曖昧な