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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页
二十五
では、私はどこにお待ちしていればよいのでしょうか」
「花園の湯の池の所で」
廣介は云い捨てて、大円柱の向側に見えなくなってしまいました。
二十五
それから十分ばかり後、北見小五郎は、数多の裸女達に混って、湯の池の、におやかな湯気の中に半身を浸して、のどかな気持で、廣介の来るのを待ち受けていました。
空はやっぱり一面の黒雲に覆われ、風はなし、目路の限りの花の山は、銀鼠色に眠って、湯の池に漣も立たず、そこにゆあみする数十人の裸女の群さえ、まるで死んだ様におし黙っているのです。北見の目には、その全体の景色が、何か憂鬱な天然の押絵の様にも見えたことでした。
そして十分二十分と過ぎて行く間が、どの様に長々しく感じられたことでしょう。いつまでも動かぬ空、花の山、池、裸女の群、そして、それらをこめた夢の様な鼠色。
併し、やがて、人々は、池の片隅から打上げられた、時ならぬ花火の音に、ハッと我に返り、次の瞬間空を見上げて、そこに咲き出でた光の花の余りの美しさに、再び感嘆の叫びを上げないではいられませんでした。
それは、常の花火の五倍程の大きさで、それ故殆ど空一杯に拡がって、一つの花というよりは、あらゆる花を集めて一輪にした様な、五色の花瓣が、丁度万花鏡の感じで、下るに随って、ハラハラとその色と形を換えながら、なおも広く広くと