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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页
「それにしても、僕は今更ら感心したね。なんてよく似ているのだろう。君とあの男がさ。原稿と一緒に菰田の最近の写真を入れて来たのだが、それを見ると、あれから五六年たつけれど、君達は、寧ろ学生時代以上に似て来たね。あの写真の口髭の所へ指を当てて、そこへ、君のその眼鏡をかけさせればまるでそっくりなんだからね」
この会話によって、読者諸君が已に想像された通り、貧乏書生の人見廣介と、M県随一の富豪菰田源三郎とは、大学時代の同級生で、しかも、不思議なことには、外の学生達から双生児という渾名をつけられていた程、顔形から脊恰好、声音に至るまで、まるで瓜二つだったのです。同級生達は彼等の年齢の相違から、菰田源三郎を双生児の兄と呼び、人見廣介を弟と呼んで、何かにつけて二人をからかおうとしました。からかわれながら、彼等は、お互に、その渾名が決して偽りではないことを、自から認めない訳には行かなかったのです。こうしたことは、間々ある習いとは云いながら、彼等の様に、双生児でもないのに、双生児と間違う程も似ているというのは、一寸珍らしい事でした。殊にそれが、後になって、世にも驚くべき怪事件を生むに至った事実を思えば、因縁の恐しさに、身震いを禁じ得ないのです。