轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页
だのに、それとは全くあべこべな、私に対するあのつれない仕向けは、一体全体どうしたというのだろう。それは、あんな恐しい出来事があったのだから、気質にしろ、体質にしろ、以前と違って了ったとて、少しも怪しむ所はないのだけれど、此頃の様に、私の顔さえ見れば、まるで恐しい者が近づいて来でもした様に、逃げよう逃げようとなさるのは、全く不思議に思わないではいられぬ。そんなに私をお嫌いなら、一思いに離別なすって下さればよいものを、そうはなさらないで、荒い言葉さえおかけなさらず、どんなにお隠し遊ばしても、目丈けは、いつでも、私の方へ飛びついて来る様に、不思議な執着を見せていらっしゃるのだもの、ああ、私はどうすればいいのだろう」
廣介の立場もさることながら、彼女の立場も亦、実に異様なものと云わねばなりませんでした。それに、廣介の方には、事業という大きな慰藉があって、毎日多くの時間をその方に没頭していればよいのでしたが、千代子にはそんなものはなくて、却って、里方から、夫の行蹟について、なんのかのと妻としての彼女の無力を責めて来る、それ丈けでも十分うんざりさせられる上に、彼女を慰めて呉れるものと云っては、里方から伴って来た年よった婆やの外には、夫の事業も、夫自身さえも、まるで彼女とは没交渉で、その淋しさ、やるせなさは、何に比べる