轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1926(大正15)年10月~1927(昭和2)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,920 字 · 153 页
千代子はそこへ降りて、一歩進むか進まぬに、思わずアッと声を立てないではいられませんでした。そこは実に、上下左右とも海底を見通すことの出来る、ガラス張りのトンネルであったのです。
コンクリートの枠に厚い板ガラスを張りつめて、その外部に、強い電燈がとりつけられ、頭の上も、足の下も、右も左も、二三間の半径で、不思議な水底の光景が、手に取る様に眺められます。ヌメヌメとした黒い岩石、巨大な動物の鬣の様に、物凄く揺れる様々の海草、陸上では想像も出来ない、種々雑多の魚類の游泳、八本の足を車の様に拡げ、不気味ないぼいぼをふくらまして、ガラス板一杯に吸いついた大章魚、水の中の蜘蛛の様に、岩肌に蠢く海老、それらが強烈な電光を受けながら、水の厚みにぼかされて、遠くの方は、森林の様に青黒く、そこにえたいの知れぬ怪物共がウジャウジャとひしめき合うかと思われて、その悪夢の様な光景は、陸上ではまるで想像も出来ない感じでした。
「どうだい、驚くだろう。だが、これはまだ入口なんだよ。これから向うの方に行くと、もっと面白いものが見られるのだよ」
廣介は、余りの気味悪さに青ざめた千代子をいたわりながら、さも得意らしく、説明するのでした。