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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
数千年前のヨブ記なるが故に、かく論じて人間の無知を充分明示し得たのである。もし今日ヨブ記が作らるるならば、他の難問を提起して人間の無知を証し得るのである。人知の進歩と人は叫べども、いまだ人に知られぬ事は宇宙に夥しく存するのである。そして昨の知識は今すでに非なるが常である。人は地に関してすらいまだ甚しく無知である。ヨブ記のこの言は、その精神において今なお有効である。
◯次の第七節に言う「かの時には晨星あいともに歌い、神の子たち皆歓びて呼わりぬ」と。地の造られし時天の星と天使との合唱歓呼せしことをいう。まことに荘大なる言である。ああいかなる合唱なりしぞ。ああいかなる歓呼なりしぞ。人の合唱、人の歓呼すら荘大高妙を極むることあるに、これはまた類なき合唱歓呼――晨星声を揃えて歌い、神の子たち皆歓び呼わるの合唱歓呼である。人は宇宙の創造に参与せずして少しもこの事を知らない。そして今いたずらにその貧弱なる智嚢を絞りつくして宇宙と造化の秘義について知らんとし、少ばかりの推測の上に蝶々し喃々する。実に憐むべきは人の無知である。知らずや地は人の思うが如くにして現われ出でたのではない。