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ヨブきこうえん

ヨブ記講演

内村 鑑三

丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页

青空文庫

七節には「かの時には晨星相共に歌い、神の子ども皆歓びて呼わりぬ」とある。八―十一節はこれを受けて言う。

8 海の水流れ出で、胎内より湧き出でし時誰が戸を以てこれを閉じこめたりしや、9 かの時我れ雲をもてこれを衣服となし、黒暗をもてこれが襁褓となし、10 これにわが法度を定め関及び門を設けて、11 曰くここまでは来るべし、ここを越ゆべからず、汝の高浪ここに止まるべしと。

海は動揺常なきものにして到底人に御し得ぬものとは、古人の思想であった。黙示録第二十一章は新天新地の成立を描きし者であるが、その第一節には「われ新しき天と新しき地を見たり、先の天と先の地は既に過ぎ去り、海もまた有ることなし」とある。海既に無しは、旧世界の混乱不安動揺既に去れりとの意であろう。またヨブ記七章十二節に「我あに海ならんや、鰐ならんや」と海を鰐に比較せる如きも、古代人のこの思想を知るものである。かくの如く海は人力の到底御し得ぬものである。しかるに神はこの海を造り給い、そしてやすやすとこれを制御しつつある。以て我らは神の力の偉大なるを知るべきであると。これ八節―十節の大意である。

◯そして八節―十一節は海を以て嬰児に譬え、海の創造を嬰児の出産に譬えて美妙なる筆を揮ったのである。