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ヨブきこうえん

ヨブ記講演

内村 鑑三

丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页

青空文庫

今や彼はこれが神の為し給う所なる事に初めて気がついたのである。この事汝に可能なるかと詰問されて、彼は神の霊能の前に首を垂れざるを得なかったのである。

◯次の十五節は言う「また悪人はその光明を奪われ、高く挙げたる手は折らる」と。これまた朝の形容の一部である。暗黒の間悪人はその悪を壇にしてその手を高く挙げて悪に従う。しかし東天を破りて日出ずるや、彼らはその武器とする暗黒を奪われてその悪を断たるるのである。神は日を以て悪を逐い給う。神は朝を世に現わして悪人を撃ち給う。神の力は絶大である。

◯八節より十五節までを通読せよ、そこにヨブの見神が現われている。彼は海を見、また海を制する陸を見、また黎明の荘大なる光景に接せしこと一再に止まらなかった。しかしこの時まではそこに神を見なかったのである。そしてこの時になって初めてそこに神を見得たのである。神の造りし荘大なる宇宙とその深妙なる運動、神の所作と支配、そこに神は見ゆる。海を制する力に、また黎明の絶美の中に彼は明かに見ゆる。人はこれを無意味に看過する。しかし信仰の眼を以てすればそこに神は見ゆるのである。しかり、そこに神は見ゆるのである。