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ヨブきこうえん

ヨブ記講演

内村 鑑三

丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页

青空文庫

第三講 ヨブの哀哭

第三章の研究

かくる者なかりき」と第二章の末段は語るのである。

◯かくて友人の来訪に会してヨブの心にもまた一変動が起ったのである。患難はその当時においては堪え得る。また敵や無情の人に対しては忍耐を持続し得る。しかしながらわが心を知る友人と相会する時、涙は初てその堰を破って出で来るのである。患難におけるこの心理を知りて初てヨブ記の構想を知り得るのである。三友人はヨブのこの心理を察し得ざりし故に、真正面より彼の論理に向って突撃したのである。かくて三章以下に記さるるヨブ対三友人の議論は始まるのである。

第三講 ヨブの哀哭

第三章の研究

◯ヨブの哀哭はヨブ記の到る処にあるが、第三章はその哀哭の最初でありかつその最も代表的のものなるが故に、この章の研究は甚だ有意味なのである。

◯さてこの章の研究に当り注意すべきは、五章十五節の「彼は六つの艱難の中にて救い給う、七の中にても災禍汝に臨まじ」の語である。ユダヤにありては七は完全を意味する語であれば、六は未完を示す辞である。故に七の艱難とは艱難がその極に至ったことを意味するのである。今ヨブの場合を見るに、事実上六の艱難は既に臨んだのである。