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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
またいう「もし人罪を犯せば我らのために父の前に保恵師あり、すなわち義なるイエスキリスト」と(ヨハネ一書二の一)。またいう「新約の仲保なるイエス」と(ヘブル十二の二十四)。この新約的大事実は、その初現をヨブのかの語において発したのである。ヨブ記にはかくの如き語が処々に在る。そはあたかも砂中に真珠を拾うが如くである。
◯同じ意味において、我らはまた九章二節に注意すべきである。そこに「人いかでか神の前に義しかるべけん」とある。義人なし一人も有るなしとのことである。ヨブはこれをその最も深き意味においていうたのではないとするも、ここに新約の中心問題が存しているのである。彼は単なる失望の声としてこれを発せしも、実はこれ神と人とに提出せられし最重要の問題なのである。宇宙の中心問題ともいうべき重大問題が、その発芽をヨブの語において有したのである。見よ「人いかでか神の前に義しかるべけん」と、げにこれこの世における最も難き問題の提出ではないか。人は罪に生れ罪に育ち罪に歩みて、いかに奮闘努力するも神の前に己を義しくすることは出来ない。しかしながら人義たらずして永生を獲得することは出来ない。